かつて次のようなことを聞いたことがあると思う。
キリンの首が長いのは、高い枝の葉を食べることができるように進化したから。 「ああ、そうなんだ」と納得した記憶がある。 しかし、良く考えてみよう。 遺伝学的常識はこうだ。 後天的に獲得した形質は遺伝しない。 つまり、キリンが高い枝にある葉を食べようと首をいくら伸ばし続けても、その努力は子孫に遺伝しない ということ。 しかし、近年、エピジェネティック変異という生物現象が観測されている。 どういう生命現象なのかというと、以下のサイトに分かりやすい解説がある。 「3. エピジェネティックの機構」にこうある。 いくつかの機構がありますが、もっとも重要なのは「DNAメチレーション」です。遺伝子の本体であるDNAは4種類の部品(A, T, G, C)でできていますが、その1つ C の塩基部分に1つメチル基がくっついた (遺伝子に印) というものです。メチル基は炭素1個と水素3個でできていて非常に小さいので、遺伝子に印がついたとしても遺伝子情報そのものには影響しません。 さて、先のキリンの例に戻って、この生命(生物)現象を検証してみよう。 キリンが高い枝にある葉を食べようと首を伸ばし続けると、このエピジェネティック変異により、キリンの首にしわができる。 このしわは、子孫の子キリンに遺伝する可能性がある。 しかし、キリンの首に関する遺伝子情報そのものには影響しないので、子キリンの首の骨の数が突然増えることはない。 つまり、キリンの首は長くならない ということになる。 |
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