様々な組織の細胞に変化するiPS細胞(新型万能細胞)で、免疫による拒絶反応を引き起こす例があることを、米カリフォルニア大サンディエゴ校のチームがマウスの実験で明らかにした。
これまで、自分の細胞で作ったiPS細胞の移植では拒絶反応が起きないとされており、iPS細胞を使う再生医療の新たな課題となる可能性もある。14日の英科学誌ネイチャー電子版で発表する。
研究チームは、マウスの体細胞から作ったiPS細胞を、同じ遺伝情報を持つマウスの皮下に移植し、免疫反応を調べた。
通常なら移植後、様々な種類の細胞の塊に成長するはずだが、今回、iPS細胞は免疫細胞の攻撃を受け、塊ができにくくなる場合があった。作製法によって免疫反応に差が出たが、少なくとも2割で塊ができなかったり、塊の一部が壊死(えし)して小さくなったりした。
一方、このマウスの受精卵から作ったES細胞(胚性幹細胞)では細胞塊に成長した。詳しく解析すると、iPS細胞ではES細胞に比べ9種類の遺伝子が過剰に働いており、がん細胞で活発に働く遺伝子などが拒絶反応の原因になっているとみられる。
(2011年5月14日08時58分 読売新聞)
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原典はこちら。
→Reprogrammed cells trigger immune reactions in mice
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ノーベル賞を受賞するためには、研究そのものが貴重であるだけではなく、その理論および発見が応用性に富んだものであることが必須条件であるように思われます。
上の研究は、ⅰPS細胞を使った再生医療分野において、極めて大きなダメージになることは間違いありません。
癌遺伝子を導入せずに幹細胞を作成する方法も確立しつつあるようですから、こちらに期待すべきでしょう。
山中教授のノーベル賞受賞はかなり先まで持ち越しとなってしまったようです。
残念ながら。