事故翌日 双葉町で1590マイクロシーベルト計測

若い頃、医学研究者として毎日のように放射性物質を取り扱っていた。

Cr51(クロム)は抗腫瘍(NK)活性測定
H3(トリチウム)は細胞増殖試験
P32(リン)はノーザンブロットやサザンブロット
S35(硫黄)はDNAの塩基配列決定(サンガー法)

以上が主に使用していた放射性同位元素(核種)である。

この中でH3やS35は最大飛程が短いのであまり気にならなかったが、Cr51やP32は防護用シールド(厚いプラスチック板)がないと数メートル離れていても線量計がビービー鳴りっぱなし(γ線)で、耳障りなだけでなく、ある種の恐怖をいつも感じていた。

放射線管理区域に入る場合、受付で、名前、入室時間、所属、そして、使用核種を必ず記入。入室後、更衣室で、防護用の眼鏡、白衣を着て、さらにゴム手袋を着用する。そして、胸にフィルムバッジを装着し、線量計(アロカ社製のごついもの)を持って実験室へ。実験中は自身だけでなく、デスクなどの備品を汚染しないよう細心の注意を払う。というより、線量計が鳴りっぱなしなので、慎重にならざるを得ないのだ。退出するときは、放射線検出機に乗り、サンダルとゴム手袋、そして白衣の袖口に汚染がないかどうかチェックする。汚染があると除染するよう指示され、場合によっては数週間の出入り禁止を告げられる。最後に、使用核種の使用量と残量、そして退出時間を記入し、無事退出。言うまでもないが、建物の中にいる間は喫煙や飲食は厳禁。

これが放射線管理区域である。

フィルムバッジにより年度末に年間被曝蓄積量が測定されるが、あれだけ被曝してもせいぜい数mSv程度だったと思う。

◇ ◇

京大の小出裕章氏がメインコメンテータであった「たね蒔きジャーナル」が終わるようである。

タイトルが

9月26日 事故翌日 双葉町で1590マイクロシーベルト計測 事故から1年半後に公表 「国の方から見ると住民の被曝よりむしろパニックを恐れるということで事故に対処した」 小出裕章(MBS)

ここに、すごいことが書かれている。

>1590マイクロシーベルト計測

もちろん、毎時、である。

1時間当たり1.59mSvの被曝

である。

思わず、絶句してしまう。

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