医療ミスと合併症の違い

損賠訴訟:「検査で後遺症」 木曽の男性、県などを /長野

 県立木曽病院(木曽町)で06年2月、木曽郡内の男性(53)が心臓カテーテル検査を受け、後遺症が残ったとして19日までに、同病院を運営する県と担当男性医師を相手取り、慰謝料など約8000万円の損害賠償を求める訴訟を地裁松本支部に起こした。

 訴状によると、男性は05年5月に被告医師から心臓カテーテル検査を勧められ、06年2月に同検査を受けた。その後、めまいなどの症状が表れ脳幹部梗塞(こうそく)と診断された。歩行障害などの後遺症が残るという。

 原告側は、脳幹部梗塞は心臓カテーテル検査が招いたもので、不必要な検査だったと主張。県病院事務局は「見解に相違がある」と争う姿勢を示した。【渡辺諒】

毎日新聞 2009年1月20日 地方版

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この記事に関して、循環器専門のある医師が鋭い指摘をされております。皆さんも是非参考にして頂きたいと思います。

Dr.I氏のやぶ医師のつぶやき

登録が必要なサイトですので、皆さんには開けない可能性があります。

一部要点のみをコピペ致します。

引用開始します。

心臓カテーテル検査の場合は、
体の中、心臓の中に
カテーテルを入れますから。
ただ薬を飲んだり、点滴の管を入れるよりは、
高い確率で合併症が起きます。

具体的には、出血や感染、不整脈とか。
それと、今回問題になっている、
「脳梗塞」。
めったにないですけど、
「死亡」というのもあります。

中略

おおざっぱに言うと、
心カテの合併症で、
脳梗塞の確率は1000人に1人位。
まあ、非常に少ない確率ですよね。
普通に考えたら。

でも、ベテランの循環器内科医なら、
心カテを数百人、
数千人ってやってますから。
1/1000っていう確率は、
そんなに低くはないんですよ。

中略

さて、当循環器科で、1000例の検査を
施行したとき、重篤な合併症が
少なくとも一件は生じる確率は
何%であろうか? 

中略

f(N) = 1-{(1-p)^(-1/p)}^(-pN)
  ≒ 1- e^(-pN) ・・・・・・・・・・・・①

試行回数を確率の逆数(=1/p)だけ、
おこなうと、 ①式より、その確率は
常に一定で、その値は、
1-1/e=0.632 となります。

中略

解答  
1000例の検査で、63% 、 
4600回(≒5000回)の検査で99% 

という事になります。

恐ろしい話ですよ、これ。

中略

でも、おおざっぱに循環器内科医
1人が一年間で100例とすると。
10年で、1000例になりますから。

脳梗塞等の
重篤な合併症が起こる確率は、
10年で63%にもなるんですよ。

これで、毎回訴えられていたら、
誰も心カテの検査やらなくなりますよ。
循環器内科医が10人いたら、
10年で6人は8000万円払えって
訴えられちゃうんですから。

・・・

「医療ミス」と「合併症」の違いを十二分にご理解して頂きたいと思います。しかも、この合併症というやつ、厄介なことにいくら注意して行なっても、数千例に一例は必ず起きてしまいます。その一例に当たるのがどうしてもいやなら、このような医療行為を受けなければ良いのです。

お分かり頂けたでしょうか。

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