京都府立医大の松原教授ら、動脈硬化の仕組み解明 抗老化たんぱく質不足で
2010年10月19日 提供:毎日新聞社
京都府立医大の松原弘明教授と草場哲郎研究員らのグループは18日、抗老化たんぱく質「クロトー」が不足することで血管が老化し、動脈硬化につながるメカニズムを解明したと発表した。近く米アカデミー紀要(電子版)で発表する。
グループは、動脈硬化で心筋梗塞(こうそく)や脳卒中となる患者は、腎臓から分泌されるクロトーが少なくなっていることに着目。生まれつきクロトーを持たないマウスを用いた実験で、血管内側の細胞(血管内皮細胞)内のカルシウム濃度が極めて高くなっていることを突き止めた。さらに、このカルシウム濃度上昇で細胞が死んで血管壁にすき間が生じ、血しょうが侵入することを発見。入り込んだ血しょう成分が、血管を石灰化して老化が導かれることを解明した。
松原教授は「血管病の予防や治療に向けた新たな戦略を開発できる可能性がある」としている。【成田有佳、広瀬登】
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いや~、おもしろいですね。
腎臓から抗老化たんぱく質が分泌されているんですね。
クロトー遺伝子ノックアウトマウスでは、
>血管内側の細胞(血管内皮細胞)内のカルシウム濃度が極めて高くなっている
とあります。
つまり、老化とは硬くなること(石灰化)である
と言い換えることもできそうです。
確かに、これは真理です。
ちなみに
クロトー遺伝子については、以下の記事が参考になります。難しいことが書かれていますが、途中省略すると、全く意味不明となってしまいますので、そのまま引用します。カッコ及び*以下は私的解説です。
クロトー遺伝子について
http://www.pariet.jp/helpful/vol55/no570/sp03.html
質問
カルシウムの代謝の促進など老化抑制にかかわるとされるクロトー遺伝子についてup to dateも含めてご教示下さい。(青森県・消化器科)
回答
杏林大学医学部 高齢医学 准教授 神崎恒一
クロトー(Klotho)と電解質代謝
Klothoは黒尾教授(現テキサス大学)と鍋島教授(現京都大学)が発見した遺伝子で、これを欠損したマウス(これをノックアウトマウスといいます)は短命で早発性老化の表現型を認めることから、抗老化遺伝子として注目されてきた。
その後の研究で、Klotho遺伝子は主として腎尿細管、PTHを発現している副甲状腺の主細胞、脳脈絡膜などに発現し、いずれも生体内もしくは組織でのカルシウム(Ca)代謝に深く関わっている可能性が示唆されている。
*難しいですが、我慢して読み続けましょう。
また最近、Klotho蛋白はFGF受容体と協同してFGF23のシグナルを細胞内に伝え、腎尿細管でのリン(Pi)の再吸収を抑えることもホットな話題になっている(図1)。また、FGF23‐Klothoシグナルは同じく近位尿細管での1α‐hydroxylase(1α‐OH)の活性を抑え、ビタミンD(vit D)の活性化を抑制することも報告されている。
*FGFというのは、線維芽細胞成長因子(fibroblast Growth Factor)のこと。働きはその名前の通り、線維芽細胞を成長させる物質。この物質に対するレセプターがKlotho蛋白と共同的に働いて、カルシウムの吸収を抑制する、すると、体内にカルシウムが溜まらず、老化が防げるというわけだ。
傍証として、Klotho変異マウスでは血清中のCa, Pi, Vit Dが高値を示し、1α‐OHの発現も顕著に亢進している。そして、Klotho変異マウスにVit D制限食を与えると、このような表現型は改善する。KlothoのVit Dを介するCa‐Pi代謝における重要性はマウスだけでなくヒトでも示されている。13歳の女子はKlotho遺伝子のホモ接合体変異であることが判明し、高Ca血症、高Pi血症、1,25(OH)2D高値が認められ、異所性石灰化が複数の箇所に認められた。以上、Ca‐Piホメオスターシスを制御する上でFGF23‐Klotho系が重要な鍵を握っていることが分かる。
Klothoと老化
Klotho変異マウスは短命(約60日)で、肺気腫、動脈硬化、骨粗鬆症、異所性石灰化、運動機能障害など様々な老化類似症状を示す1)。一方、Klotho過剰発現マウスは平均寿命が2年から約3年に延長することが判明した。
このことから、Klotho遺伝子は長寿遺伝子でありKlotho蛋白(分泌型蛋白)は抗老化ホルモンと考えられている。その機序は分かっていないが、Klothoは活性酸素消去酵素であるSODの発現を誘導するなど、生体を酸化ストレスから守り、生体内の蛋白、DNAその他の障害を防ぐ役割を持つことが想定されている。
図1:FGF23/KlothonによるCa-P代謝調節
腎臓から分泌される‘ホルモン’ということですから、腎臓から分泌された後、各臓器のFGFーR(レセプター)に結合して効果を発揮すると考えられます。例えば、血管内膜細胞に作用すれば、血管の内膜肥厚や石灰化を防止できるというように。
一方、このたん白の量或いは質を高めるような方法が何か見つかれば、老化防止の治療として期待できるというわけです。
とりあえず今私たちに出来ることは、塩分などの過剰摂取を避けて血圧と上げないようにしたり、適度に運動して、コレステロールや血糖値を上げないようにして、腎臓になるべくダメージを与えないようにすることでしょうかね。
先生・・・
確かに難しいです。。。
とくに、今の精神状態では・・・^^);;;
現状、とにもかくにも、、
腎臓は大事、
SODも大事、というくらいで・・・(@_@;)