■院長の役に立つ話
〜一般名ニボルマブという薬〜
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今何かと話題のオプジーボという薬。この薬の作用機序を見てみよう。この薬、下の動画で登場するPD(programmed death)-1に対して作成された抗体だ。小野薬品が掲げるサイトを見ていると次のように書いてある。☞オプジーボ(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))は、ヒトPD-1に対するヒト型IgG4モノクローナル抗体です。オプジーボは、PD-1とPD-1リガンド(PD-L1およびPD-L2)との結合を阻害することで、がん細胞により不応答となっていた抗原特異的T細胞を回復・活性化させ、抗腫瘍効果を示します。 |
さて、興味深いのは、programmed (cell) deathという生命現象。これをWikipediaで調べてみると、次のように書いてある。 |
☞プログラム細胞死とは・・ |
プログラム細胞死(プログラムさいぼうし、英: Programmed cell death, PCD)は多細胞生物における不要な細胞の計画的(予定・プログラムされた)自殺である。組織傷害などで細胞死を起こす壊死と異なり、一般にはPCDは生物の生命に利益をもたらす調節されたプロセスである。PCDは植物、動物、一部の原生生物で正常な組織形成や病原体などによる異常への対処として働く。・・・この中に3つの型がある、すなわち、アポプトーシスapoptosis、オートファジーautophagy、ネクローシスnecrosisの3つ。この中のオートファジーの研究により、東工大名誉教授・大隅良典氏が、昨年ノーベル医学生理学賞を受賞したことは記憶に新しい。 |
The role of the immune system is to protect the body from foreign invaders. Normally, the immune system responds to tumor cells as it does to any foreign invader by destroying them. T cells play a central role in the immune response to cancer. T cells are primed and activated by dendritic cells within the lymph nodes. They can then infiltrate the tumor microenvironment which is comprised of tumor cells and other tumor-infiltrating immune cells. Here, activated T cells detect, bind to, and kill tumor cells. Programmed death ligand 1 or PD-L1 is one of the inhibitory ligands that under normal conditions help maintain immune homeostasis. However, in many cancers, PD-L1 can help tumor cells evade immune system particularly when it is expressed in abundance. This occures when activated T cells release interferon gamma, leading to overexpression of PD-L1 on both tumor-infiltrating immune cells and tumor cells. PD-L1 interferes with bodies and anti-cancer immune response by binding to its receptors, B7.1 and PD1 on the surface of activated T cells, thereby deactivating T cell cytotoxic activity. T cells can also become deactivated when PD-L1 expressed on tumor-infiltrating immune cells binds to B7.1 or PD-1. |
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免疫系の役割とは外来侵入者から体を守ることだ。 通常、免疫系は、他の外来侵入者と同様、それらを破壊することにより腫瘍細胞に反応する。 T細胞は腫瘍免疫反応において中心的役割を果たす。 T細胞は、リンパ節の中で樹状細胞によって教育され活性化される。 このリンパ球は、腫瘍細胞及び免疫細胞から成る「腫瘍組織塊」へと侵入することが可能だ。 この中で、活性化T細胞は腫瘍細胞を検出、結合し、死滅させる。 Programmed death ligand 1(PD‐L1)は、免疫学的恒常性を維持する抑制性リガンドの一つである。 多くの腫瘍組織塊において、PD-L1の過剰発現は、腫瘍細胞が免疫監視機構から免れることができるように働く。 この現象は、活性化T細胞がインターフェロンγを放出する際に起き、腫瘍塊内浸潤免疫細胞と腫瘍細胞の両者におけるPD-L1のさらなる過剰発現を励起する。 PD-L1は、活性化T細胞膜表面上のB7.1やPD1と結合することによって、抗腫瘍免疫反応を阻害し、T細胞抗による腫瘍活性を不活化する。 PD-L1を発現する腫瘍塊内浸潤免疫細胞が、T細胞上のB7.1やPD-1と結合している場合においても、T細胞は不活化され得る。 |